東京には美味しい蕎麦屋さんがたくさんあります。
でも、「どの暖簾(のれん)の系統か」を知ると、目の前の一杯がもっと面白く、深く感じられるようになります。
江戸前蕎麦には、大きく分けて「砂場」「更科」「藪」という三つの系統があります。
麺の見た目もつゆの味も、それぞれ驚くほど個性が違います。
砂場(すなば)大阪生まれの優しい味わい

砂場のルーツは、実は大阪といわれています。
それが江戸に伝わり、多くの人に親しまれながら現代まで受け継がれてきました。
オイラが特に親しみを感じるのは、南千住にある砂場です。
昔ながらの落ち着いた雰囲気の中で味わう蕎麦は、どこか懐かしさがあります。
麺は白っぽくて、つるりとのど越しが良いのが特徴。
つゆは甘みとコクがあり、とてもまろやかです。
江戸の老舗らしい、カドのない優しい味わいが楽しめます。
更科(さらしな)お殿様も愛した気品ある白

更科は、蕎麦の実の中心部分だけを贅沢に使う「更科粉」で打たれます。
そのため、麺は驚くほど白くて上品。
口当たりも繊細で、ほんのりとした気品が漂います。
総本家更科堀井などに代表されるこの系統は、つゆも出汁の風味を大切にした優しい味が多め。
蕎麦そのものの繊細な甘みを引き立ててくれます。
ちょっと特別な気分を味わいたいときにぴったりな系統です。
藪(やぶ)江戸っ子の「粋」が詰まった辛口

藪蕎麦は、まさに江戸っ子の「粋」を体現したような系統です。
かんだやぶそばや並木藪蕎麦が有名ですね。
麺は少し緑がかっていて、蕎麦の香りが強め。
そして何より特徴的なのが、濃くてキリッとした辛口のつゆです。
蕎麦の先だけをちょんとつゆに軽くつけて、一気にズズッとすする。
そんな、ちょっと格好をつけたくなるような食べ方も、藪蕎麦ならではの楽しさです。
まとめ
同じ「江戸前蕎麦」という言葉でくくられていても、
砂場は、甘みとコク。
更科は、上品な白さと繊細さ。
藪は、強い香りとキリッとした粋。
これだけの違いがあります。
ただお腹を満たすだけでなく、その背景にある歴史を知ってから暖簾をくぐると、街歩きや蕎麦巡りが何倍も楽しくなります。
自分だけのお気に入りの一軒を見つけるのも、江戸蕎麦ならではの贅沢な遊び方です。
おわりに
上野藪そば 検索して出てきた動画
オイラは思いました。
元気だった頃の年越しそばは上野藪そばが多かった。
「箸で綺麗に手繰り寄せ、口元で一気にズズッと啜る」
「たぐる」という表現がが粋で大好きです(笑)
ただの食事としてパッと食べるのもいいけれど、一杯の器の向こう側に、お店が何代も守り続けてきた歴史や、職人さんの技が隠れている。
今度暖簾をくぐるときは、麺の色やつゆの濃さをいつもよりちょっとだけ意識して、そのこだわりをじっくり楽しんでみたいと思います。
本日の川柳
一枚じゃ 足りぬと頼む 二枚目だ